業務に関わるものすべてに必要な秘密保持契約

顧客データ、機密データなど企業による情報漏えいのニュースは、いまや珍しいものではなくなりました。情報漏えいのルートは自社の社員やアルバイトからといった内部から漏れるケースもあれば、外注先、業務委託先など外部から漏れるケースもあります。業務を行う上で情報を開示しなければならない場合は秘密保持契約(NDA/ Non-Disclosure Agreement)を結び、書面で締結することが不可欠です。

秘密保持契約書が必要となるケースとその理由

秘密保持契約書が必要となるケースは、顧客データや機密データなど自社の情報を開示しなければならない場合です。従業員や契約社員、アルバイトなどが入社する際はもちろん、外注先、業務委託先などと自社のサイト製作を依頼する、自社商品の代理販売契約を結ぶ、商品やサービス開発の一部を委託するといった場合に必要となります。

ここで勘違いしがちなのが、外注先や業務委託先と業務契約を結ぶことで、秘密保持契約書を作らなくとも秘密保持契約も結ばれていると思ってしまうことです。しかし、基本的に契約とは契約を結んだ相手同士のみに適用されます。

仮に契約を交わしたA社が契約を交わしていないB社に機密情報を漏えいし、そのB社がその情報を公開してしまった場合、契約を交わしたA社に対して守秘義務違反として損害賠償を請求することはできます。しかし、B社は契約を交わしていないため、情報公開の停止や損害賠償請求を行えません。こうした事態を避けるには、A社と業務契約以外に秘密保持契約書を交わしておかなければならないのです。

秘密情報契約書に必要な項目

秘密情報保持契約者を作成する際に記載しておくべき主な項目は以下になります。

1.情報開示の目的
相手先に対し、なぜ自社の情報を公開するかといった目的を記載します。「商品開発のため」、「自社サイト製作のため」といったものが相当します。

2.守るべき情報の定義
開示する情報の何が秘密情報なのかを定義します。これにより、何を漏らしたら守秘義務違反になるのかが決まります。

3.秘密情報開示の範囲
業務内容によっては、委託先からさらに委託先へ業務を依頼することもあります。そういった際に備え秘密情報の開示範囲を決めます。また開示する際に自社の同意が必要かどうかも決めておくとよいでしょう。

4.損害賠償
もし守秘義務違反を犯した場合に損害倍書請求が発生することを明記します。

これ以外にも、契約書の有効期限、秘密情報の複製の禁止、第三者に漏えいした場合の差し止め請求、協議事項、準拠法、裁判管轄など必要に応じて追記していきます。

万が一に備え契約書の作成は専門家に依頼を

情報漏えいは企業にとって非常に大きな損失を生み出します。仮に漏えいしたものに対し損害賠償請求ができたとしても失った信頼を回復するには、相当の時間を要します。

万が一に備え、秘密保持契約書を作成することはもちろんですが、単に作成するだけでは本当の意味での防止策にはなりません。さまざまな状況に対応できる漏れのないものを作成する必要があります。そのため秘密保持契約書を作成する場合は弁護士や専門業者など専門の知識を持ったものに依頼することをおすすめします。

次に、仮に従業員が退職した場合、情報漏えいリスクを考え、秘密保持契約は有効にできるのかを見ていきます。

従業員が退職した後も秘密保持契約書は有効にできるのか

会社と従業員は、通常、企業に入社した際、雇用契約に基づき就業規則によって秘密保持義務が発生します。しかし昨今の情報漏えいリスクを鑑みて、企業と社員が就業規則とは別に秘密保持契約を結ぶ企業が増えています。

この秘密保持契約で考えておかなければならない点として、退職後はどうするかという問題があります。基本的に秘密保持契約は雇用関係の元に成り立っているため、退職してしまえばその前提がなくなってしまいます。しかし退職後に競合他社に転職する、顧客情報を持ち出すといったことは十分に考慮する必要があります。そこで退職後でも秘密保持契約を有効とできるのかについてご説明します。

退職後の情報漏えいリスクを防ぐ2つの方法

退職などにより企業との雇用関係がなくなれば、秘密保持契約の効力も同時に消えてしまいます。在職中は秘密保持契約により、社員が情報漏えいなどを起こした場合、損害賠償請求などを起こすこともできます。しかし秘密保持契約の効力が切れた退職後に、競合他社に顧客情報を持ち込むなどがあれば、企業は大きな損害を受ける可能性もあります。企業としてこれを防ぐ術はないのでしょうか?

退職後の情報漏えいリスクを防ぐには、2つの方法が考えられます。1つは就業規則で退職後の秘密保持の関しての規定を行うこと。そしてもう一つは退職時に改めて秘密保持契約書を交わすことです。これにより、社員が退職後に情報漏えいを犯したとしても、企業は在職時と同様に損害賠償請求を行うことができます。

退職後の秘密保持契約の問題点

就業規則による縛りと秘密保持契約書による縛り。どちらの方法であっても、退職後の社員による自社の情報漏えいを防ぐには一定の効力を持ちます。ただしどちらの方法を取るにしても問題点はあります。1つは憲法により職業選択の自由が保障されているため、就業規則や秘密保持契約書で競合他社への転職を禁止条項は必ずしも効力を発揮するとは限らないことです。取締役や常務といった役職者でない限り、競合他社への転職を禁止することは難しいでしょう。

そしてもう1つは退職後の秘密保持契約の期限です。企業側としては無期限としたいところですが、無期限としてしまうと場合によっては契約自体が無効となることもあります。一般的には退職後、2~5年が妥当だと言われていますので、それぞれの企業の状況に応じた対応が必要となります。

情報漏えいリスクの軽減のための秘密保持契約

厚生労働省が発表した平成25年2月の「平成24年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」によると、平成24年の一般労働者の平均勤続年数は男性で13.2年、女性で8.9年となっています。この結果を見ても多くの社員が就職から定年までを1つの会社で過ごすことはまれであることがわかります。つまり企業は情報漏えいリスク軽減のためには、在職中だけではなく、退職後の情報漏えいに関しても何らかの対策を講じなくてはならないということです。

いくつかの問題点はあるものの、就業規則によって規定をする。秘密保持契約書を改めて締結し、誓約書の提出を求めるといったことは、必ず行うことをおすすめします。

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