経営者にとって他人ごとではないバイトテロ
主に飲食店やコンビニ、小売店など接客業で働くアルバイト店員が、店舗内の什器や商品などを使い悪ふざけしたものを動画で撮影し、Twitterなどに投稿し炎上したニュースを聞いたことがある方は多いと思います。こうした行為は“バイトテロ”と呼ばれ、SNSで炎上した結果、最悪の場合は店舗が閉店に追い込まれてしまう場合もあります。労働力の多くをアルバイトでまかなう接客業において、決して他人ごとではないこのバイトテロ。企業はどういった対策が必要となるのでしょうか?
バイトテロが起こる背景とは
アルバイト店員の悪ふざけ自体は、最近になって急に増えたわけではありません。しかし、なぜ最近になってニュースなどで取り扱われるようになったかと言えば、それは悪ふざけを行った当事者やその周りのものが面白がってSNSに投稿するようになったからです。
中には犯罪、迷惑行為を自慢するためにSNSに投稿する確信犯もいますが、ほとんどの場合、メールで友人間だけで回しているのと同じ感覚でSNSに投稿したことから、拡散されてしまうケースが多いようです。
一旦、SNSに投稿されてしまうと仮に投稿者は友人しかフォローしてないとしても、そのうちの一人でも外に向けて公開してしまえば、あっという間に拡散されます。そして気づけば数万、数十万の人が閲覧し炎上を起こすといったことになるのです。
バイトテロに対し企業は法的対応が可能か?
当事者にとっては単なる悪ふざけのつもりであっても、企業側はそれではすみません。ネット上で拡散され炎上してしまえば、その対応には相当の時間と手間を要します。さらにその悪ふざけの内容によっては、店舗の閉店、企業ブランドの失墜など大きな損害を受けることにもつながります。
こうしたアルバイト店員の行為に対し、企業側が行える法的対応には、刑事、民事で以下のようなものがあります。
【刑事】
1. 器物損壊罪
店舗内の備品や什器、商品を壊した場合
2. 食品衛生法違反
床に落としたり、汚れた手などで触れた食品を販売した場合
刑事はほかに威力業務妨害罪、信用毀損罪などが考えられます。
【民事】
3.損害賠償請求
壊れた備品、什器の修理、クリーニング代、お客様への返金、商品交換代、閉店や営業停止になった場合
取引先への違約金や従業員への給与補償などがあります。
ただし多くの場合、バイトテロを起こすのは学生バイトなため、損害賠償請求に関して高額の請求をすることは難しいようです。
バイトテロを起こさない教育、ルール作りが重要
今後、バイトテロが増えてくると、1,000万円を超えるような高額の賠償請求も考えられます。しかし、現状ではそこまでの高額請求は難しいとなれば、企業側としてはバイトテロを起こさないように未然の対策に徹するしかありません。
バイトテロを防止するには、たとえ短期契約であってもアルバイト店員に対するネットリテラシー教育を徹底すること。実際にそのような行為があった場合に、これだけの損害賠償請求をするということを明確にすることが重要です。
さらに仕事中は店舗側でスマートフォンを預かる、もしくはロッカーなどにしまい絶対に持ち出さないようにするといったルールを作ります。そしてアルバイト店員が店舗や休憩室で一人になる時間帯を作らない、監視カメラを設置するなど本気でバイトテロを起こさない体制作りをしているという姿勢を見せることが、バイトテロ防止の一番の方法となります。