名誉毀損の基準をご存知ですか?

ネット上で特定の相手や会社に対し誹謗中傷を行い、名誉毀損で訴えられたというニュースを耳目したことはあると思います。では具体的に何をネット上に書き込んだら名誉毀損になるのでしょうか?もしかしたら、相手から訴えられていないだけで、すでに処罰の対象になる書き込みを知らずにしているかもしれません。今回のコラムでは、あなたも知らないうちにやっているかもしれない名誉毀損に該当する投稿についてご説明します。

悪意がなくとも犯罪は成立する?

SNSの普及により、それまではネットを使っても閲覧するだけだった方の多くが自分からさまざまな情報を発信するようになりました。家族や友人、知り合いとのコミュニケーションはもちろん、自分の意見や思いを公開できる場所として日本では6,000万人以上の方が日常的にSNSを利用しています。またSNSだけでなく、口コミサイトやYahoo!ニュースなどでは、アカウントさえ作ればすぐにお店やニュースに対して感想を書き込めることから多くの方がサービスを利用しています。

しかし、これだけ簡単に自分の意見を公開できる場が増えると、それに比例してトラブルの数も多くなります。仲間内だけで話していることであれば問題ないことであっても、ネットという誰でも閲覧できる公共の場においては、投稿内容によっては訴えられてしまう可能性も少なくないのです。

自分としてはほんの冗談としていったことであっても、受け取り手が侮辱された、名誉を傷つけられたと思えば、名誉毀損罪として訴えられることもあります。そしてほんの冗談のつもりの投稿が実際に訴えられ有罪になれば、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金を科されるという非常に重い罪です。

名誉毀損の大前提は“第三者が特定できるかどうか”

日常で相手の名誉を傷つけたり侮辱したりすることが許される行為ではないように、ネット上でもやってはいけないことである点は同様です。ただ、自分では悪意があるつもりで投稿したわけではないのに名誉毀損で訴えられてしまう場合もあります。トラブルに巻き込まれるのを避けるためにも、具体的にどんな投稿であれば名誉毀損になるのかは知っておかなくてはなりません。

名誉毀損になる大前提として、第三者が見て「誰の名誉を棄損しているか特定できるかどうか」ということが挙げられます。たとえば「〇〇の定食は不味い」といった投稿だけでは、どこにあるお店の何の定食かを特定できないため、名誉毀損にはなりません。しかし、自分の住んでいる地域を公開している状態で「地元の駅前にある〇〇の定食は不衛生で調理人の腕が悪く不味い」と投稿した場合、わかる人が見ればどのお店なのかが特定できます。

上記のケースでは、不衛生、調理人の腕が悪いといった投稿内容が事実と異なっていると名誉毀損になる恐れがあります。さらに個人ではなく、飲食店や企業などに対してこういった投稿をした結果、売上低下を招いた場合は、名誉毀損だけではなく、業務妨害罪に問われる可能性も。そうなれば多額の損害賠償を請求されることもあるため、”ネット上も公の場“であることを忘れないようにしましょう。

ネット上で名誉毀損を行うと訴訟や刑事罰のリスクが

ネット上でのやりとりはテキストだけのやりとりが基本となります。そのため、対面での話し合いのように相手の感情を受け止め、顔色を伺いながらやりとりをすることもありません。顔が見えない分、対面では口にできないような誹謗中傷や暴言を発信することもあり、非常に誤解が生じやすいという特徴があります。

そもそも相手の感情がわからない冷淡なテキストだけのやりとりは、悪意のある言葉でなかったとしても、相手にはきつい言い方に取られてしまいがちです。さらにそれが人となりのわからない匿名の相手同士となればなおさらといえるでしょう。ほんのちょっとの行き違いから感情的になってしまい、直接もしくは別の場所で相手に対して誹謗中傷を書き込み、名誉毀損にまで発展してしまうケースは珍しくありません。

しかし、現実の世界同様、ネット上であっても特定の誰かに対して名誉毀損を行うと、その名誉毀損を受けた本人から訴訟を受けるリスクがあり、最悪の場合は刑事罰を受ける可能性もあります。匿名同士だから特定はされないとたかをくくっていると必ず痛み目に遭います。訴訟にまで発展してしまうとほぼ間違いなく本人の特定はされることになるのです。

ネット上での誹謗中傷は一瞬にして拡散される

一般公開されているネット上での誹謗中傷、名誉毀損といった行為は、ネット環境さえあれば見ることができるので、当人同士以外にも多くの閲覧者が存在することを忘れてはいけません。そして論争を交えている本人たちが気づかないところで、その一部始終をまとめサイトや別の掲示板などにコピペして拡散する人もいるので非常に厄介です。

特定の誰かを誹謗中傷する内容を広めることのどこが楽しいのだろうと思われるかもしれません。しかし、たとえば2ちゃんねるで話題になったスレッドの中から興味を引く書き込みだけを抜き出し、「2ちゃんねるまとめ」といったサイトを作成し、広告を貼って収入を得るといったネットビジネスに利用している人もいます。人の不幸を面白く思う人は一定数いるので、残念ながらそうしたビジネスが成り立ってしまうのです。

また、単純に誹謗中傷された相手を好ましく思っていない人が、面白がって別の場所にコピペし拡散するといったケースもあります。特にその対象が芸能人や有名人であった場合、名が知れていればいるほどアンチも多く存在するので、あっという間にネット上の至るところにコピペされ拡散されます。こうした情報の拡散を目論む人がいるかぎり、ネット上は常に穏やかとはいえません。

コピペしただけでも罪に問われる可能性は高い

直接であれ間接であれ、特定の誰かを誹謗中傷したとしたら、訴えられて罪に問われるのは当たり前のことです。では、そうした誹謗中傷が書き込まれたブログや掲示板の内容を自分のブログや別の掲示板にコピペした場合はどうなるのでしょうか? 当事者とは無関係な立場にあり、誹謗中傷したわけでもないのに単に書き込まれていることをコピペしただけでは「罪にならない」と考える人が多いのではないでしょうか。しかし、過去の判例を見る限り、名誉棄損となる書き込みをコピペしただけでも罪に問われる可能性は高いといえます。

「2013年、Yahoo!掲示板」に書き込まれた中傷記事を匿名で「2ちゃんねる」に転載していたケースでは、最高裁が「転載によって情報を拡散させ、社会的評価をさらに低下させた」と名誉毀損を認めています。つまりそれが金儲けのためであれ、ほんのイタズラであれ、相手を公然と批判して名誉毀損をした際と同様の罪に問われてしまうのです。

別のサイトの内容を丸々コピペすることは著作権的に問題となりますが、たとえそれが一部であっても、特定の誰かの名誉を毀損するものであれば、最悪、刑事罰を受けることもあります。悪気があって情報を拡散したわけでなくても、知られたくない情報を広められた方からしたら理由などどうでもいいのです。ほんのイタズラや出来心で情報を拡散することはネット上ではよくあることですが、何か目的があって別サイトから引用をする場合はその内容に十分気をつけるようにしましょう。

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