ネット上からなくなることのない風評被害

情報発信ツールの簡略化やソーシャルメディアの多様化が進む今日のインターネット事情。従来よりも利便性が高くなる一方で、ネット上での“風評被害”により注意しなければならなくなりました。誰もが自由に発言でき、他者の意見を閲覧できるオープンな場であるがゆえに、人の揚げ足をとったり、悪質な噂を流したりする人も多く存在します。ネット上から風評被害や誹謗中傷、炎上がなくなることはないのでしょうか? 『風評被害の裏事情 第1回』では風評被害が起こる社会背景やネット利用者の心理などに迫ってみました。

重大な損害をもたらす風評被害・誹謗中傷

急速にネット社会が発展しているこのご時世なだけあって、“風評被害”という言葉を誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。その意味合いとしては「根拠のない噂によって受ける被害」のこと。不確かな情報や無責任な書き込みによって、第三者や無関係な相手を侮辱したり、貶めたりする行為で、ネット上ではこうしたトラブルが絶えず繰り返されており、被害者の数は年々増加傾向にあります。

また、風評被害の中でもよくある個人攻撃のパターンとして“誹謗中傷”が挙げられます。いわゆる「悪口」であり、事実関係の有無が問われることなく問題発言が投稿されるケースもあるようです。よく芸能人などの熱愛報道があった際に、そのファンが2ちゃんねるなどに批判めいた投稿をすることもあります。ただ、それらの報道が事実とは限らない場合でも、伝わってきた情報を鵜呑みにしてネットが荒れるということも日常茶飯事です。

こうした風評被害や誹謗中傷、他人に知られたくない事実や個人情報の流布(プライバシーの侵害)が行われた場合、批判の矛先を向けられた側が信頼を回復するのは極めて困難といえるでしょう。したがって問題投稿を行った人が、被害者側から人権侵害や名誉毀損で訴えられるといったケースも珍しくないのです。

ネット上には常に風評被害・誹謗中傷があるもの

上記で説明したように被害者側が社会的信用をなくすのと同様に、加害者側も訴えられることによって法的な制裁を受ける可能性があるにもかかわらず、どうして風評被害や誹謗中傷はなくならないのでしょうか。その主な原因としては、“ネットの匿名性”が挙げられます。インターネットによる個人攻撃などの投稿は身分を名乗らずともできるため、軽い気持ちで書き込みをしてしまう人も少なくないようです。

この匿名性による心理的なハードルの低さが何より問題で、実際の人間関係、対面での会話で絶対に口にしないような悪口雑言や根拠のない言い分、個人のプライバシーや業務上の機密事項に関する情報をためらいなく書き込めてしまうのです。風評被害や誹謗中傷がネット上からなくならないのは、「顔を合わせないから悪口を言いやすい」「自分の正体がばれる心配がない」などの理由が挙げられます。実態が見えないので、悪質化しやすいのもまた問題なのです。

ただ、SNSや掲示板では表向きは名前や素性をうかがい知ることはできませんが、IPアドレス(インターネットなどのIPネットワークに接続されたPCやスマートフォンなどのデバイス1台1台に割り振られた識別番号)を調べれば発信元を特定できます。そのため、「ネット上なら悪口を言いたい放題だ」と考えているとしたら大きな間違いです。ご自身が特定される可能性があるので、そうした迷惑行為は控える必要があります。

ネット社会の現実を今一度把握することが大切

「悪事千里を走る」ということわざが存在するように、思慮のない、他人を貶めるような情報発信は瞬く間に広く伝播します。そして、一度そういう噂が広まるとその流れを断ち切ることは簡単ではなく、被害拡大による影響は計り知れません。しかも、その内容は多数の閲覧者の目に留まり、場合によっては赤の他人にコピー&ペーストや引用されることによって情報は限りなく拡散し続けます。

そのような事態に陥ってしまうと、オリジナルの書き込みはもちろん、他人のアカウントでコピー&ペーストや引用されたものを含め、同様の情報をネット上から完全に消すのは非常に骨の折れる作業になります。軽はずみなネット上での投稿が大きなトラブルにまで発展する――そうした危険性を常に孕んでいるのが現代であり、“ネット社会の裏側”なのです。

前述のようにネットへの投稿は、匿名性が担保されているように思われますが、IPアドレスなどから発信者の追跡が行えます。仮に2ちゃんねるなどの掲示板に「殺す」「爆弾を仕掛けた」などの書き込みをした場合、すぐ特定されて警察に検挙されてしまいます。本人はほんのいたずらで行ったことでも、事件にまで発展するケースは珍しくないのです。私たちは、こうしたネット社会の現実を正しく認識し、正しい利用の仕方やネットコミュニティとの向き合い方を真剣に考えなければいけません。

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