Q&Aサイトに書かれた悪口による風評被害
ネットユーザーが投稿した質問に、別のユーザーが回答するというスタイルのQ&Aサイト。「Yahoo!知恵袋」や「OKWAVE」などがその代表的な類ですが、利便性に優れている反面、一度企業や店舗への悪口・誹謗中傷が投稿されると、閲覧者が多いだけに根拠のない書き込みであってもその後の取引や売上に影響が出たり、イメージダウンの原因となったりします。このような質問サイトの悪評にはどのように対処すべきでしょうか。
注意すべきYahoo!知恵袋などQ&Aサイトの書き込み
Q&Aサイトはユーザーの「困った」「ほしい」に答える非常に便利な情報収集源です。ただ、いい評判だけでなく悪い評判についての興味本位の投稿や返答も多いので、特に企業の広報や採用担当者は自社の悪口が書き込まれていないかを時に“エゴサーチ”をしてみましょう。エゴサーチとは自分や会社の名前を検索してみることです。検索によって自社の評判を少なからず確かめられるので、風評被害が気になる場合は意識的にチェックしてみましょう。
では、実際に「A社は詐欺まがいの商売をしているとの噂があるが?」という質問に対して「粗悪な商品を法外な価格で売っていた。返品も受け付けられなかった」といった回答が寄せられたとします。多くの場合、A社の評判を落とそうとする人物が自作自演で投稿したものか、複数の人間による共謀の可能性が考えられます。そうすることでA社の評判はガタ落ち――質問サイトは使い方次第でいくらでも悪用できてしまう恐ろしい一面があるのです。
また、こうしたQ&Aサイトによる風評被害の対象は企業だけに留まりません。同様の被害が企業や組織で働く特定の個人にもたらされることもあります。たとえば実際にOKWAVEであった事例ですが、「営業部長と女性社員が不倫をしているが会社に報告すべきかどうか」という書き込みがありました。不倫は事実であり、http://im-solution.net/wp-admin/profile.php当人たちは拡散を恐れて削除を要請しましたが、社名と伏せ字とはいえ個人名がネット上に掲載。関係者ならば誰のことか容易に見当がつく内容だったようです。
知っておくべき簡単にできる対処法
悪意ある書き込みに対して、業者に依頼する前にできる応急処置的な対処法があります。それが「違反報告」です。多くのサイトやSNSなどでもこれらの機能がありますが、まずはQ&Aサイトの運営会社に違法行為があることを速やかに伝達することが重要になります。Yahoo!知恵袋であれば、同サイトのガイドラインに抵触する投稿には違反報告ボタンを押すだけで同サイトに対処を依頼できます。以下が違反報告の対象です。
【Yahoo!知恵袋の違反報告の対象】
- 不適切な文言・画像の投稿
- 意図がわからない質問
- 投稿内容の重複
- カテゴリー間違いの投稿
- 個人を特定できる情報の掲載
- 宣伝・広告としての利用
不適切な文言・画像の投稿や個人名の記載があり、特定の企業や店の営業を妨害する内容や誹謗中傷で個人攻撃する内容になっている場合は、この方法で違反を報告しましょう。そうすることで不適切な投稿を削除できる可能性があります。ただし、実際に削除されるかどうかはサイト運営者の判断によるので、確実に“ネット上から消える”とは言い切れないのが難点です。
書き込みがもとで訴訟に発展したケースも
違反報告ボタンは手軽ですが、すべてのケースにおいて確実な対策ではありません。ただし、サイト運営者が削除できないと判断した質問や回答でも、名誉毀損に該当している場合は違法行為なので法的な手段に訴えることが可能です。具体的には運営者であるYahoo!に対して質問や回答の削除と書き込んだ人間の使用したIPアドレスなどの情報の開示を請求し、投稿内容に権利侵害があるとYahoo!が認めれば削除と開示が行われます。
IPアドレスから書き込んだ人物や組織が特定できたら、名誉権侵害で相手を起訴できます。実際、平成23年にはYahoo!知恵袋上で事実無根の誹謗中傷により風評被害を受けたある企業が、Yahoo!に対し投稿の削除とIP開示を請求し、それをもとに書き込んだ人物を起訴。最終的に勝訴したことで名誉を回復しています。
Yahoo!知恵袋などQ&Aサイトで著しい風評被害に遭った場合は、専門の業者や弁護士に相談の上、法的に解決する道を模索するのがベストと言えるでしょう。Q&Aサイト上の問題投稿を放置し、知らない間に情報が拡散されてしまうことで自社や店のイメージダウンは避けられません。手遅れになる前に対策を講じておきたいものです。
次に逆に削除依頼が来た場合どのように対応すればよいかご紹介します。
削除依頼に対する適切な対応について
「Yahoo!知恵袋」や「教えてgoo」などのQ&Aサービスで質問し、回答の中に特定の人物やお店、企業の関する悪評・誹謗中傷が書き込まれ、対象者から削除依頼が来た場合、どういった対応をするべきかご存知ですか? もし削除依頼を無視していると対象者から訴えられてしまうケースに発展することはあり得るのでしょうか。今回はYahoo!知恵袋などのQ&Aサービスの投稿に削除要請が来た際の対処法についてご説明します。
質問者は回答欄に書かれた内容の責任を負うべきか
たとえば「〇〇というお店の料理は非常に不味いのですが、なぜだと思いますか?」「〇〇という会社は残業ばかりさせるくせに残業代を一切払わないという話は本当ですか?」など自分が質問者として悪意のある質問をした場合、その対象となる店舗、企業から削除要請に応じなければ名誉毀損や業務妨害で訴えられてしまう可能性があります。
しかし、「〇〇駅周辺で中華の美味しい店はありますか?」といった一般的な質問をした際に「△△というお店はゴキブリがよく出るので行かない方がいいです」といった回答があり、そのお店から質問自体の削除要請があった場合、それに応じなかったからといって質問者が訴えられてしまうといったことはありません。つまり、あくまで悪意のある質問、回答をしたものが訴えられる対象になるということであり、質問をしただけのユーザーがその対象になることはありません。
つまり、Q&Aサービスにおいて悪とみなされるのは、質問の主題を悪意のある方向性に持ち込もうとするユーザーなのです。自分の投稿がきっかけに、Q&Aサービス内が荒れたとしても、責任を負う必要はありません。ただ、収拾がつかなくなる事態は想定できるので、その場合は自ら危険な投稿に関しては通報するようにしましょう。
削除依頼に応じる場合の削除方法
Yahoo!知恵袋の場合、質問の回答を受付中の時には、質問者の判断によってその質問自体を削除することができます。もしこの状態の時に削除要請があり、削除をすることが妥当だと思えば、削除理由を記載したうえで、自分で質問を消せるのです。
しかし、解決済みとなってしまった質問に関しては、質問者がYahoo!のプレミアム会員でない限り自分で削除することはできません(プレミアム会員は月に1回だけ削除が可能)。この場合の削除要請は質問者ではなくYahoo!に直接要請する形になります。
Q&Aサービスでの悪評や誹謗中傷は、質問をしただけで自分が書き込んだのではない限り、責任を追及されることはありません。ただし自分はそのつもりがなく書き込んだ質問が特定の誰かの名誉を毀損してしまっているということもありますので、質問をする際には十分に注意するようにしてください。そして、インターネット上から情報を収集するだけに、他のユーザーに配慮した質問をすべきだということが大前提になるのです。